コラム

2024.02.05

乳福も忘れないで。vol3

キリスト教系の学校の先生の機関誌「キリスト教保育」に縁あって「目福耳福口福」という欄にコラムを掲載しました。承諾を得て3回に分けて転載します。

最終回は、乳がんの治療についてです。

私は外科医なので、手術の話から始めます。乳がん手術の要点は、乳房を残せるか、残せないかです。残せないのであれば新しく作る再建という選択肢もあります。残す手術を乳房温存術といいます。周囲に取り代をつけてがん病巣をくり抜きます。現在では、およそ60%の患者さんが温存術を受けています。乳房を全て切除しないとがんを取り残してしまう患者さんに乳房切除術を選択します。50年以上前、全ての患者さんが乳房を丸ごと取られていました。そこにイタリアのいけおじベロネーシが、乳房を残しても大丈夫という有名な臨床試験をデザインして、見事に予後に変わりがない事を証明したのです。予後とは、乳がんで亡くなる方の率です。どちらの手術を受けても、10年後に予後に違いがなかった訳です。 では、何が予後を左右したか?

予後を左右したのは、薬物治療でした。どちらの手術を受けようが、乳がんの薬物治療を受けたかどうかが、分かれ道だと分かったのです。本当は、薬物療法が重要で手術の内容ではないのではないかと世界中の医者が感じていて、「そうじゃないのか?」を検証するために先に述べた臨床試験が行われたのです。薬物療法には、多くの種類の治療薬があります。髪の毛が抜ける抗がん剤治療は、その一部でしかありません。内分泌療法という治療を受ける患者さんが最も多いのですが、あと10回くらい紙面をお借りしないと詳しく説明できません。

乳がん治療は、この20年で大きく進歩しました。検診による早期発見と治療方法の進歩が、予後を改善してきたと言われています。女性のがんの罹患率第一位ですが、死亡率は第一位ではありません。乳がん検診を受けて、早期発見。そこで乳がんが見つかっても、慌てず騒がず、主治医からよく説明を受けて、正しい治療法を選択すれば良いのです。その際には、分かりやすく良く説明してくれる先生を選びましょう。ね、キリスト教保育と同じでしょ。

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