コラム

2020.07.02

乳がんと検診について part2

乳がんは、定期的に人々の話題に上る身近な病気です。
死亡原因で5位、罹患率(乳がんにかかる率)では女性のがんの1位です。

最新の国立がんセンターの統計では、2015年に93.529人もの女性が乳がんに罹患しています。
特に働き盛りの女性や小学校や中学校、高校生のお子さんがいるお母さんの年代にピークがあることも特徴です。

がんは、ある日突然、細胞の中で設計図と違う遺伝子ができ、勝手に役に立たない細胞が増えた結果です。
役に立たないだけならまだしも転移して体中を蝕み、命を脅かす厄介者です。
 
「がんにならない」ための予防を一次予防といいます。
乳がんの場合、遺伝性乳がん家系の場合を除き、残念ながら一次予防はありません。
「より早くがんを見つける」二次予防が、乳がんで亡くなる方を減らす最も有効な予防策となります。

つまり乳がん検診です。
 
どうして早期発見が重要なのでしょうか。
それは、早く見つければがんが勢いをつける前にしっかり治療できるからです。
でも、中には抗がん剤治療を受ける人や再発してしまう人がいるのはなぜでしょう。

乳がんには性質の異なる以下の4つのタイプが存在します

① 比較的ゆっくり育ち、女性ホルモンに関係する治療に反応するタイプ
② どんどん育ち、抗がん剤治療が必要なタイプ
③ 早く育つが、特殊なタンパク質を持ち特定の薬が良く効くタイプ
④ ①や③の性質を併せ持つタイプ

①のルミナールタイプが最も多く約70%を占めます。
ゆっくり育つので乳がん検診がとても有効です。

一方、②のトリプルネガティブタイプは、速く育つため突然しこりを自覚して受診することになり、「1年前に検診を受けていたのに」というようなエピソードや、小林麻央さんのようなことごとく治療に抵抗するようなタイプですが、
実は全体の1割程です。

③のHER2(ハーツーと読みます)タイプは、治療成績がこの10年で飛躍的に良くなったグループです。ある程度進んで見つかることが多いのですが、治療に良く反応して再発する人が少ないタイプです。

つまり、多くの乳がんは検診で早期発見ができる上に、定期的に検診を受けたり、クリニックを受診して乳がんに対する意識を高めることで、②や③のタイプの乳がんが万が一出来ても、早くに気付くことができます。
この考え方を欧米では、Breast awareness(ブレストアウェアネス:当てはまる日本語はまだ作られていません)ということばを使って説明しています。

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